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    小川悠介


    海外でも人気急上昇!中国で注目される海外漫画作品とは?


    ジャパン戦略」と命名され、これ以降は「クールジャパン戦略」が日本の国策と位置付けられる。 2013年11月25日、政府と電通など官民ファンドによる海外需要開拓支援機構(愛称:クールジャパン機構)が設立され、以降のクールジャパン戦略はクールジャパン機構が管轄している。 クールジャパンの具体例としては、…
    39キロバイト (5,157 語) - 2024年2月4日 (日) 00:12


    日本の漫画が世界的に有名なのは確かですが、他の国の漫画も素晴らしい作品がたくさんありますね。日本以外の漫画も積極的に楽しんでみたいです。

    「韓国作品をパクれ」「我々はいわば下請け業者」…日本の漫画業界が直面している“非情な現実”とは〉から続く

     日本政府はエンタメ作品の人気を利用して外交力を高める狙いもあり、12年に「クールジャパン戦略担当相」を新設。翌年には官民ファンドの「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」を立ち上げた。それから約10年が経つが、一体どのような成果があがっているのだろうか。

     ここでは、共同通信社記者の小川悠介氏の著書『漫画の未来 明日は我が身のデジタル・ディスラプション』(光文社新書)の一部を抜粋。日本のエンタメ業界の実情について紹介する。(全2回の2回目/1回目を読む)

    ◆◆◆

    迷走するクールジャパン

     クールジャパン機構には多額の公的資金が投入されたが、残念ながらめぼしい成果が見当たらない。投資したマレーシアの商業施設では、「アナと雪の女王」や「スター・ウォーズ」などの海外作品が展示されるといったお粗末な事態が判明。資金繰りがつかず経営破綻する投資先も出る中、機構幹部による女性社員へのセクハラ事件まで発覚し、世間の強い批判を浴びた。累積赤字は300億円超に達しており、現在組織の廃止が検討されている。

     経産省が所管する別の官民ファンド「産業革新機構(INCJ)」の投資状況も悲惨の一言に尽きる。漫画や邦画のハリウッド展開を目的に設立された東京の映画会社に数十億円を投資したが、素人然とした経営は出だしから行き詰まる。結局、会社は一本も映画を製作できず、INCJは17年にタダ同然で持ち株を売却する羽目になった。

     政府のクールジャパン戦略全体を見渡しても、当初の期待とは裏腹に迷走ぶりが目に付く。経産省や文化庁、外務省など省庁間の連携が乱れた上に民間側も大して乗り気でなく、官民の足並みは一向にそろわなかった。出版業界の中では「言論・表現の自由」を確保するために、過度に国に頼るべきではないとの考えも一部にあったという。だが、ここにきて日本企業の姿勢に変化の兆しが出ている。国内のコンテンツ市場に頭打ち感が出る一方、世界市場は着々と拡大を続けているためだ。

     デジタル化の進展で国境を越えて作品を届けやすくなり、グローバルヒットを前提にして多額の制作資金をかけた作品が各国で幅を利かせるようにもなった。このまま自国に閉じこもっていれば、現状維持さえおぼつかなくなるとの認識が広がっている。

     象徴的だったのは、昨年春に経団連が公表したコンテンツ産業の反攻戦略案だ。レポートの副題は「Last chance to change」。その中で、国によるクリエーター人材の育成や制作費の補助拡充を訴え、(KOCCAのように)海外の支援拠点を整備する必要性を強調した。さらに政策の司令塔となる「コンテンツ庁」の設立も提言し、「過去積み上げてきた日本発コンテンツは、環境変化と各国の成長スピードに圧されて、その地位を失う危機に晒されている」と警鐘を鳴らした。

    デジタル時代の『ONE PIECE』

     ライバルは韓国だけではないのだ。

     漫画についても、世界各地で次々と強敵が現れている。23年は米アマゾンとアップルがそろってウェブトゥーンに参入し、業界全体に激震が走った。アップルの場合、日本の読者は同社の電子書籍アプリ内の「縦読みマンガ」のページにアクセスすれば、専用の閲覧システムで快適に読み進められる。おなじみの「話売り」形式を踏襲し、韓国拠点の制作スタジオと組んで独自作品を用意した。今後は数十カ国で事業を広げる方針で、ウェブトゥーン市場の台風の目となる可能性は十分にある。おのずと同社のお膝元である米国産ウェブトゥーンが脚光を浴びる機会も増えるだろう。

     インドでは、ウェブトゥーンを配信する漫画アプリ「Toonsutra(トゥーンスートラ)」が昨年秋にお目見えした。ソニーグループのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)が支援する同アプリは、古代の王族親子を描く「バーフバリ」シリーズやインド神話を題材にした作品などを用意し、無料もしくは1話あたり約5インドルピー(約9円)で販売する。米アマゾン出身で、共同創業者のヴィシャール・アナンドは「インドには7億人の巨大な若者市場があり、スナック感覚で楽しめるエンタメが求められています。アプリの利用者はすぐに数百万人に達するでしょう」と取材に語り、東南アジアでの事業拡大にも意欲を示した。

    中国ではスタートアップ企業がトップの座に

     さらに中国においては、漫画アプリ「快看(かいかん)」が自国で制作したウェブトゥーンを配信し、急成長している。創業者の陳安妮(チェン・アンニ)は「ポスト90年」世代の起業家の代表格といわれ、成功に至るまでの道はまさにシンデレラ・ストーリーだ。

     決して裕福とは言えない家庭で育った陳は、学生時代に友人からお金を借りてタブレット端末を手に入れ、ネット上にイラストを投稿して日銭を稼いだ。そして22歳の年に、蓄えた資金を元手に北京市内のアパートで起業する。もちろん陳にエンジニアの経験はない。投資家から見向きもされず、途中で運転資金が不足するなど、アプリの開発は困難の連続だったという。だが、14年12月にサービスを開始すると、自らが描いたウェブトゥーン作品が世間の話題となり、わずか2カ月で利用者数が約200万人に増加した。今では3億人の大台を超えている。スタートアップ企業ながら、巨大ITのテンセントや動画配信大手のビリビリが運営する漫画アプリを押しのけて中国トップの座に座る。

     アプリは初期の姿から徐々に変化を遂げ、現在はウェブトゥーンのほかに、1話あたり数分のミニアニメを柱としている。これは、ウェブトゥーンのコマが自動で動く様子をイメージしてもらえれば良い。声優が登場人物を演じ、物語の展開に合わせて効果音も入る。本格アニメほどの迫力はないが、スクロールの連続で指が疲れないことから、スマホ片手にだらだらと過ごす「寝そべり族」と呼ばれる若者らの間で視聴が広がる。このほか、ライブ配信機能を設けて、作者とファンがオンライン上で交流できるようにしたのも特徴だ。21年に国有系投資銀行などから2億ドル超を調達すると、海外進出を加速させた。クリエーターの医療保険や健康診断などの費用を負担し、福利厚生の拡充にも力を入れている。

    近年、AIを使った画像生成の技術が急速に進化

     創作環境が整備されて描き手が増えれば、表現の規制が厳しいとはいえ作品のレベルも上がる。総人口が14億人に達する中国は、潜在的なクリエーターの層も当然厚い。北京市内で活動するウェブトゥーン作家の浅野龍哉は「中国の作家は創作への情熱に溢れ、驚くほど絵の上手な人が数多くいます」と話す。もともと浅野は日本で漫画を描いていたが、鳴かず飛ばずの日々が続いたことから心機一転、15年に移住。現地の大学で日本語や横読み漫画の描き方を教えていた。だが、学生が夢中になって読むのは、スマホ画面に映るウェブトゥーンだった。新時代の息吹を感じて自身でも縦読みの制作を手がけるようになり、20年には、顔を失ったダークヒーローを主人公にした『faceless(フェイスレス)』を快看で連載した。浅野は言う。

    「日本人は日本漫画が世界で一番面白いと思っていますが、中国ウェブトゥーンの質の向上は目覚ましいものがありますよ。しかも、最近は(中国が得意とする)AIを使った画像生成の技術が急速に進化しています。もしかしたらデジタル時代の『ONE PIECE』は日本ではなく、海外で生まれるのかもしれません」

    (小川 悠介/Webオリジナル(外部転載))

    ©AFLO


    (出典 news.nicovideo.jp)

    【海外でも人気急上昇!中国で注目される海外漫画作品とは?】の続きを読む


    漫画業界の闇―日本は「下請け業者」扱いされているのか?


    デジタルコミック > ウェブコミック > ウェブトゥーン ウェブトゥーン(朝: 웹툰、英: Webtoon)とは、web(ウェブ)とcartoon(カートゥーン)を合わせた造語で韓国発のウェブコミックの一種である。日本においてWEBTOON(ウェブトゥーン)は、NAVER WEBTOON Ltd…
    6キロバイト (218 語) - 2024年1月18日 (木) 05:00


    「韓国作品をパクれ」という発言は非常に問題ですね。創造性やオリジナリティを大切にするべきですし、他国の作品をただコピーするだけでは本当の才能や面白さは生まれません。

     スマートフォンで読むことを前提に描かれた新たな漫画の表現形式「ウェブトゥーン」。中国の調査会社が2023年に発表したレポートによると、その世界市場は2029年に22年比7倍の275億ドル規模に急成長すると予測されている。昨年末時点の為替レートで円換算すると約3兆8千億円。国内の漫画市場(約67億円)をはるかに上回る巨大ビジネスが誕生しようとしているのだ。

     そんななか、漫画大国である日本はどのよう対策・対応をとっているのか。ここでは、共同通信社記者の小川悠介氏の著書『漫画の未来 明日は我が身のデジタル・ディスラプション』(光文社新書)の一部を抜粋し、日本の漫画業界の実情について紹介する。(全2回の1回目/続きを読む)

    ◆◆◆

    背水の綱渡り経営

     日本の制作スタジオ業界では、早くも先行きを懸念する声がささやかれている。経営のネックになるのは資金繰りだ。作品によって幅はあるものの、ウェブトゥーンは1話当たりの制作費がおよそ50万円で、20話を事前に作り置くとなると1千万円かかる。漫画アプリの運営会社から資金が出る場合もあるが、仮にスタジオ独自で10作品を同時に制作していれば、1億円が先行投資としてのしかかる計算だ。制作開始から収益が発生するまでにタイムラグが大きく、綱渡りの経営状態に陥りがちなのだという。

     しかも狙った通りに作品が人気を博すとは限らない。国内の制作スタジオの数はすでに70社を超え、仕掛かり中の作品は合計で1千を優に超えているとみられる。これらに韓国からの輸入作品が加われば、一時的に供給過多になる恐れがある。

    「作っても出しどころが少ない」。制作現場を取材して回っていると、こんな愚痴を耳にする。漫画アプリ「ハイクコミック」などの日本勢が登場してはいるものの、結局は膨大な利用者を持つピッコマかLINEマンガの韓国系の2大アプリで配信されなければ大当たりは難しいのだ。仮に韓国系アプリに採用されたとしても、アプリ内のトップ画面で強く推してもらえる可能性は決して高くない。自社が制作に関与した作品が優先されるという理由だけでなく、少数の作品を大々的に売り出す「ブロックバスター戦略」を取るためでもある。

    アプリ運営企業から厳しい契約条件を押しつけられがち

     同戦略は、米ハリウッドをはじめエンタメ業界で流行する経営理論で、一握りの作品に制作費や販促費などの経営資源を投下するのが特徴だ。米ハーバード・ビジネス・スクール教授による関連書籍『ブロックバスター戦略』によれば、米ワーナー・ブラザースは10年に約20作の映画を制作したが、全体予算の3分の1を「ハリー・ポッター」シリーズなどの3作品に的を絞って大成功した。

     データ分析の技術が進化し、ヒット作品を従来に比べて精度高く予想できるようになったため、こうした手法は近頃、ますます存在感を増している。とはいえ、日本では「お客様は神様です」の有名な言葉があるように、顧客第一主義が古くから浸透しており、「ヒットは力尽くで生み出すもの」といった発想に対して、国内の制作スタジオの間では戸惑いも見られる。ただでさえ、まだスタジオ各社は輝かしい制作実績がなく、アプリ運営企業から厳しい契約条件を押しつけられがちという別の悩みを抱える。同業他社への作品提供を長期間禁じる「独占縛り」などは、まさにそれに当たる。「我々はいわば下請け業者。5年後に生き残っている制作スタジオはごく一部ではないだろうか」。ウェブトゥーン・バブルの裏で、悲観的な言葉を発する関係者が後を絶たない。

    置き去りにされた読者

     すでにスタジオの制作現場では、作業スケジュールの大幅な遅れなどの混乱も生じている。ある韓国系の制作スタジオでプロデューサー業務を担うN氏(=取材当時)は「ウェブトゥーンをよく知らない日本人だけで作品を作ればトラブルは起きて当然です」と警告する。韓国資本のスタジオではネームや線画などの工程を日本側で、着色工程を韓国側で担当したりする。手先の器用な日本人は、ペン入れの作業ではすぐに力を発揮できるが、ゲームイラストやアニメとも微妙に異なるウェブトゥーン独特の「塗り」をこなせる即戦力の人材は、国内にはまだ数が少ない。

     だが、韓国にツテのない他のスタジオは、国内で作業を完結させている。一部のスタジオでは出版社からの転職組がプロデューサーを務めるが、彼らは日本漫画の専門家であって、ウェブトゥーン制作に関しては初心者だ。ウェブトゥーン作家としてのデビュー経験を持つN氏は「紙の漫画の編集ノウハウはあまり通用しないでしょう」と辛辣に言う。絵やストーリーの基本ルールが両者で異なることに加え、分業で作るウェブトゥーンでは、プロデューサーは作品の質を管理するために各工程に目を配る必要がある。自身で制作ソフトを操作するなどの実務経験がないと具体的な指示を出せないのだ。

    異業種の企業が運営するケースが

     作家と一対一で向き合う漫画編集者と違って、ウェブトゥーンのプロデューサーは集団をまとめ上げる人心掌握術も求められる。だが、クリエーターは個性が強く社交性に乏しい人も少なくないため、組織を円滑にマネジメントするのは一筋縄ではいかない。新型コロナの影響でリモート作業が浸透し、「仕事終わりに軽く一杯」といった具合に対面で日常的に交流を深めるのもなかなか難しいようだ。あるプロデューサーは「スタジオのあちこちでケンカや揉め事が起きて、前向きな雰囲気を作るのに苦労しています」と愚痴をこぼす。

     経営と現場の間にもすきま風が吹いている。韓国では作家出身者が立ち上げたスタジオも珍しくないが、日本は異業種の企業が運営するケースが目立つ。制作スタジオの幹部の中に、「ビジネスチャンスだから参入を決めたが、それほどウェブトゥーンを読んだ経験はない」と本音を語る人もいた。これでは会社としてまとまらないのは自明だろう。

     日本の第一次ウェブトゥーンブームの立役者、東京のウェブトゥーン制作会社ミキサーでプロデュース業務を手がける北室美由紀はこんな違和感を口にした。「10年前は(日本に制作スタジオはなく)作家と読者が一体になって新たな市場を作ろうとする温かみがありました。今は、肝心の読者が置き去りにされ、企業によって一方的に作られたブームのように映ります」。

    「韓国作品をパクれ」

     そんな状況下、制作スタジオ業界では「T・T・P」なる言葉が流行しているのだという。もちろん環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の間違いではない。その意味は、韓国を「てっ・ていてきに・パクれ」。韓国の有名作品を教科書代わりに一コマずつ分解して、ネームの描き方から着彩、「エフェクト」と呼ばれる絵の加工・演出技術までを細かく解析し、自分たちの作品にそっくり取り込んでいる。

     これまで韓国は、半導体や家電などさまざまな産業領域で、日本の高い技術力を貪欲に吸収してキャッチアップを図ってきた。エンタメの分野でも、「東方神起」などを輩出した大手芸能事務所のSMエンタテインメント(2000年に韓国コスダックに株式上場)が、日本のエイベックスを徹底的に手本にしたのは有名な話だ。それが、まさかお家芸である漫画で逆転現象が起きているとは──。LINEマンガの運営会社では、韓国人のチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)、尹仁完(ユン・インワン)が22年までウェブトゥーン制作を指揮していた。

    韓国の制作会社が相次いで日本進出するワケ

     尹はかつて小学館の漫画誌で連載していた作家で、10年に韓国で制作会社「YLAB(ワイラボ)」=昨年7月にコスダックに上場=を創業した。日本での創作経験を母国に持ち帰り、橫読み作品の輸出拠点としての役割を目指したのだ。当時、尹は高橋留美子や浦沢直樹などの著名作家にインタビューし、漫画作りの秘訣を聞き出している。だが、韓国のウェブトゥーン業界が急成長を遂げると、ワイラボは新市場に向けて舵を切る。そして瞬く間に、尹は日本に「学ぶ側」から「教える側」へと立場をひっくり返してみせた。

     形勢が逆転したという文脈では、以前は日本の出版社が韓国で作家をスカウトしていたが、このところは韓国の制作会社の日本進出が相次いでいる。ソウル市に本社を置くジェダムメディアは昨年、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループと組んで都内にスタジオを設立した。日本はクリエーターの人材が豊富な一方、長引いたデフレの影響で給与水準が低く韓国勢から見てコスパが良いのだ。ただ、ひらめきや柔軟な発想力を大切にする日本の描き手の中には、ロジックを重んじる韓流のモノ作りにギャップを感じる人もいる。少し前には、カカオピッコマ傘下の制作会社の社員が相次いで離脱する出来事が起きた。ピッコマ側は口を閉ざすが、事情に詳しい関係者は、韓国のやり方を日本人に押しつけすぎたのが原因だろうと推測する。

    市場規模は1千億円程度に成長したが…

     日系の制作スタジオでも事情は似たり寄ったりで、「数字にばかりこだわる彼ら(韓国系企業)とは話が全くかみ合わない」といった文句が聞こえる。韓流の漫画アプリは、大量の読者数が見込めるはやりのテーマの作品を好むため、日本の漫画雑誌に比べると型破りな作品は採用されづらい。

     さりとて、韓国作品の二番煎じばかりをしていては、いつまでも本家を超えられない。日本流のヒット作品を生み出そうと意気込んでウェブトゥーン業界に入ってきた若者は、すっかりトーンダウンし、やり場のないいら立ちも募っている。国内のウェブトゥーン事業は22年が「元年」とされ、世間の認知度は急速に高まり、(広告や権利収入などを含めた広義の)市場規模は1千億円程度に成長した。だが、あるスタジオの社員は「今の業界を見渡すと、黎明期というより混乱期という表現の方がしっくりくる気がします」と力なくつぶやいた。

    「日本人は日本漫画が世界一と思っていますが…」中国に移住した漫画家が明かす“海外作品”の凄まじすぎる発展〉へ続く

    (小川 悠介/Webオリジナル(外部転載))

    ©AFLO


    (出典 news.nicovideo.jp)

    【漫画業界の闇―日本は「下請け業者」扱いされているのか?】の続きを読む


    中国での活躍が話題!移住した日本漫画家が驚愕する海外作品の成長とは


    ^ 「アメリカに日本漫画を輸出する ポップカルチャーのグローバル・マーケティング」p141-142 松井剛 有斐閣 2019年3月15日初版第1刷発行 ^ 日本漫画と西洋漫画の違いを山藤章二は『ヘタウマ文化論』(岩波新書)p.159で“日本漫画
    40キロバイト (5,895 語) - 2024年2月11日 (日) 13:44


    日本漫画が世界一と思っているのは、日本人の誇りと自信があるからなのかもしれません。しかし、中国に移住した漫画家が明かす海外の作品の発展は凄まじいですね。異文化の交流によって、新たな一面が見えてくるのはとても興味深いです。

    「韓国作品をパクれ」「我々はいわば下請け業者」…日本の漫画業界が直面している“非情な現実”とは〉から続く

     日本政府はエンタメ作品の人気を利用して外交力を高める狙いもあり、12年に「クールジャパン戦略担当相」を新設。翌年には官民ファンドの「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」を立ち上げた。それから約10年が経つが、一体どのような成果があがっているのだろうか。

     ここでは、共同通信社記者の小川悠介氏の著書『漫画の未来 明日は我が身のデジタル・ディスラプション』(光文社新書)の一部を抜粋。日本のエンタメ業界の実情について紹介する。(全2回の2回目/1回目を読む)

    ◆◆◆

    迷走するクールジャパン

     クールジャパン機構には多額の公的資金が投入されたが、残念ながらめぼしい成果が見当たらない。投資したマレーシアの商業施設では、「アナと雪の女王」や「スター・ウォーズ」などの海外作品が展示されるといったお粗末な事態が判明。資金繰りがつかず経営破綻する投資先も出る中、機構幹部による女性社員へのセクハラ事件まで発覚し、世間の強い批判を浴びた。累積赤字は300億円超に達しており、現在組織の廃止が検討されている。

     経産省が所管する別の官民ファンド「産業革新機構(INCJ)」の投資状況も悲惨の一言に尽きる。漫画や邦画のハリウッド展開を目的に設立された東京の映画会社に数十億円を投資したが、素人然とした経営は出だしから行き詰まる。結局、会社は一本も映画を製作できず、INCJは17年にタダ同然で持ち株を売却する羽目になった。

     政府のクールジャパン戦略全体を見渡しても、当初の期待とは裏腹に迷走ぶりが目に付く。経産省や文化庁、外務省など省庁間の連携が乱れた上に民間側も大して乗り気でなく、官民の足並みは一向にそろわなかった。出版業界の中では「言論・表現の自由」を確保するために、過度に国に頼るべきではないとの考えも一部にあったという。だが、ここにきて日本企業の姿勢に変化の兆しが出ている。国内のコンテンツ市場に頭打ち感が出る一方、世界市場は着々と拡大を続けているためだ。

     デジタル化の進展で国境を越えて作品を届けやすくなり、グローバルヒットを前提にして多額の制作資金をかけた作品が各国で幅を利かせるようにもなった。このまま自国に閉じこもっていれば、現状維持さえおぼつかなくなるとの認識が広がっている。

     象徴的だったのは、昨年春に経団連が公表したコンテンツ産業の反攻戦略案だ。レポートの副題は「Last chance to change」。その中で、国によるクリエーター人材の育成や制作費の補助拡充を訴え、(KOCCAのように)海外の支援拠点を整備する必要性を強調した。さらに政策の司令塔となる「コンテンツ庁」の設立も提言し、「過去積み上げてきた日本発コンテンツは、環境変化と各国の成長スピードに圧されて、その地位を失う危機に晒されている」と警鐘を鳴らした。

    デジタル時代の『ONE PIECE』

     ライバルは韓国だけではないのだ。

     漫画についても、世界各地で次々と強敵が現れている。23年は米アマゾンとアップルがそろってウェブトゥーンに参入し、業界全体に激震が走った。アップルの場合、日本の読者は同社の電子書籍アプリ内の「縦読みマンガ」のページにアクセスすれば、専用の閲覧システムで快適に読み進められる。おなじみの「話売り」形式を踏襲し、韓国拠点の制作スタジオと組んで独自作品を用意した。今後は数十カ国で事業を広げる方針で、ウェブトゥーン市場の台風の目となる可能性は十分にある。おのずと同社のお膝元である米国産ウェブトゥーンが脚光を浴びる機会も増えるだろう。

     インドでは、ウェブトゥーンを配信する漫画アプリ「Toonsutra(トゥーンスートラ)」が昨年秋にお目見えした。ソニーグループのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)が支援する同アプリは、古代の王族親子を描く「バーフバリ」シリーズやインド神話を題材にした作品などを用意し、無料もしくは1話あたり約5インドルピー(約9円)で販売する。米アマゾン出身で、共同創業者のヴィシャール・アナンドは「インドには7億人の巨大な若者市場があり、スナック感覚で楽しめるエンタメが求められています。アプリの利用者はすぐに数百万人に達するでしょう」と取材に語り、東南アジアでの事業拡大にも意欲を示した。

    中国ではスタートアップ企業がトップの座に

     さらに中国においては、漫画アプリ「快看(かいかん)」が自国で制作したウェブトゥーンを配信し、急成長している。創業者の陳安妮(チェン・アンニ)は「ポスト90年」世代の起業家の代表格といわれ、成功に至るまでの道はまさにシンデレラ・ストーリーだ。

     決して裕福とは言えない家庭で育った陳は、学生時代に友人からお金を借りてタブレット端末を手に入れ、ネット上にイラストを投稿して日銭を稼いだ。そして22歳の年に、蓄えた資金を元手に北京市内のアパートで起業する。もちろん陳にエンジニアの経験はない。投資家から見向きもされず、途中で運転資金が不足するなど、アプリの開発は困難の連続だったという。だが、14年12月にサービスを開始すると、自らが描いたウェブトゥーン作品が世間の話題となり、わずか2カ月で利用者数が約200万人に増加した。今では3億人の大台を超えている。スタートアップ企業ながら、巨大ITのテンセントや動画配信大手のビリビリが運営する漫画アプリを押しのけて中国トップの座に座る。

     アプリは初期の姿から徐々に変化を遂げ、現在はウェブトゥーンのほかに、1話あたり数分のミニアニメを柱としている。これは、ウェブトゥーンのコマが自動で動く様子をイメージしてもらえれば良い。声優が登場人物を演じ、物語の展開に合わせて効果音も入る。本格アニメほどの迫力はないが、スクロールの連続で指が疲れないことから、スマホ片手にだらだらと過ごす「寝そべり族」と呼ばれる若者らの間で視聴が広がる。このほか、ライブ配信機能を設けて、作者とファンがオンライン上で交流できるようにしたのも特徴だ。21年に国有系投資銀行などから2億ドル超を調達すると、海外進出を加速させた。クリエーターの医療保険や健康診断などの費用を負担し、福利厚生の拡充にも力を入れている。

    近年、AIを使った画像生成の技術が急速に進化

     創作環境が整備されて描き手が増えれば、表現の規制が厳しいとはいえ作品のレベルも上がる。総人口が14億人に達する中国は、潜在的なクリエーターの層も当然厚い。北京市内で活動するウェブトゥーン作家の浅野龍哉は「中国の作家は創作への情熱に溢れ、驚くほど絵の上手な人が数多くいます」と話す。もともと浅野は日本で漫画を描いていたが、鳴かず飛ばずの日々が続いたことから心機一転、15年に移住。現地の大学で日本語や横読み漫画の描き方を教えていた。だが、学生が夢中になって読むのは、スマホ画面に映るウェブトゥーンだった。新時代の息吹を感じて自身でも縦読みの制作を手がけるようになり、20年には、顔を失ったダークヒーローを主人公にした『faceless(フェイスレス)』を快看で連載した。浅野は言う。

    「日本人は日本漫画が世界で一番面白いと思っていますが、中国ウェブトゥーンの質の向上は目覚ましいものがありますよ。しかも、最近は(中国が得意とする)AIを使った画像生成の技術が急速に進化しています。もしかしたらデジタル時代の『ONE PIECE』は日本ではなく、海外で生まれるのかもしれません」

    (小川 悠介/Webオリジナル(外部転載))

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