ニュースリアル速報

国内外の出来事をリアルタイムで届けるブログです。最新ニュースの速報から、その背景にある深い分析まで、読者にとって重要な情報をわかりやすく提供します。ニュースの真実とその意味を、日々の生活に直結する形でお届けします。

    性加害


    「“主人”と“ご主人”の違いが生む性加害のリスク」


    暴力(せいぼうりょく)とは、被害者との関係の如何を問わず、暴力または強制を伴った行動や人身売買を行ったり、それらを行おうとしたりする行為を指す。 また性加害とは「同意のないに関する加害行為全般」を指す用語として使用されている。「性加害」という言葉は2023年にジャニーズ問題
    8キロバイト (1,016 語) - 2024年2月22日 (木) 22:05


    性加害という重いテーマについて考えさせられる記事ですね。確かに言葉遣いや考え方にも影響があるのかもしれません。

    「性加害問題」という言葉を連日見聞きする。この原稿を読むあなたの頭にもいくつかのニュースが浮かぶはずだ。2023年は社会のあちこちに巣くっていた性加害問題が浮き彫りになった年であったし、残念なことに2024年もそれは終わっていない。本書が刊行されたのも、必然的なものだったのかもしれない。

     人気のない土手下で1人の男の遺体が発見され、物語は幕を開ける。男の体内からは犯人のものと思われるメッセージが見つかった。

     目には目を――そのメッセージの意味は、ほどなく判明する。被害者は集団レイプ事件の加害者の父親だったのだ。

     事件を追う刑事達と共に、私達読者は集団レイプ事件の真相と、被害者とその家族、加害者とその家族の〈その後〉を垣間見る。

     そこで直面するのは、性犯罪がいかに「日常の積み重ね」から生まれるかということだ。日々の生活の中で〈当たり前〉として受け入れていた男女間の不平等や役割の押しつけ、差別の延長に性犯罪がある。

     そのことをよく表しているのが、作中で描かれた夫の呼称問題だ。自分の夫を「主人」と呼ぶ、話し相手の夫を「ご主人」と呼ぶ。当たり前に使っている呼称も、漢字を見てみたらご主人様の主人である。夫婦とは対等な関係であるはずなのに、呼称の中に当然という顔で上下関係――いや、主従関係がある。

     主人公である刑事の鞍岡が、そんな目くじらを立てなくても……と感じるのも理解できる。女性の私ですら「じゃあ何と呼べば?」と思う。だが鞍岡は己の中に小さな差別が潜むことに気づく。性犯罪を憎み、一人娘を大事に想う彼にも、そういう部分があった。

     私達の日常には些細な性差別が多々ある。ありふれているからこそ解決しづらく、しつこく社会を蝕んで性犯罪を生む。これが大袈裟な発想ではないと、本書を読んだ人は知るはずだ。

     そして、この問題は決して男性だけのものではないということもまた、つくづく思う。私も過去に書いた小説に「女々しい」という言葉を何食わぬ顔で使っていて、数年後に読み返して驚いたことがある。就活生の頃、面接で明らかなセクハラ質問をされ、「今のってセクハラかな?」と笑う面接官に「この程度で騒ぐほど自意識過剰じゃないです」と返したこともある。性犯罪に遭った女性を同じ女性が糾弾する構図は、こういうところから生まれるのかもしれない。

    「当時はそれくらい許される空気だった」「その場の空気を壊さないために仕方なく」という言い訳はいくらでもできる。しかしこの作品は突きつけてくる。そういう小さな毒がこの社会に蔓延していることを自覚して、地道に取り除いていく必要があるのだと。「誰もが容疑者」で「誰もが当事者」なのだと。そこに男女の区別はないのだと。

    てんどうあらた/1960年愛媛県生まれ。86年『白の家族』で野性時代新人文学賞を受賞。93年『孤独の歌声』で日本推理サスペンス大賞優秀作。96年『家族狩り』で山本周五郎賞、2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞、09年『悼む人』で直木賞を受賞。
     

    ぬかがみお/1990年茨城県生まれ。2015年に『屋上のウインドノーツ』で松本清張賞、『ヒトリコ』で小学館文庫小説賞を受賞。

    (額賀 澪/週刊文春 2024年2月29日号)

    『ジェンダー・クライム』(天童荒太 著)文藝春秋


    (出典 news.nicovideo.jp)

    【「“主人”と“ご主人”の違いが生む性加害のリスク」】の続きを読む


    「松本人志の出演番組消滅に対する反応: 「平気」と「テレビがつまらなくなる」の分かれる意見」


    松本 人志(まつもと ひとし、1963年〈昭和38年〉9月8日 - )は、日本のお笑いタレント、司会者、俳優、映画監督、作家。お笑いコンビ・ダウンタウンのボケ、ネタ作り担当。相方は浜田雅功。 兵庫県尼崎市出身。吉本興業(東京本部)所属。愛称は「松ちゃん」(まっちゃん)。妻は元タレントの伊原凛。20…
    119キロバイト (16,080 語) - 2024年2月17日 (土) 11:31


    「松本人志が出演する番組が次々と終了し、彼のテレビでの姿が見られなくなることに対して、視聴者の間で意見が分かれています。一部の人々は「ぜんぜん平気」と反応し、テレビコンテンツの多様化やインターネットの台頭により、従来のテレビ番組への依存度が低下していることを示しています。一方で、「テレビがつまらなくなる」と感じる人々もおり、松本人志独特のユーモアと洞察力が、テレビ業界において依然として重要な役割を果たしていることを強調しています。松本人志は、長年にわたり日本のお笑い界で中心的な存在として活躍し、その斬新な発想と鋭いコメントで多くのファンを魅了してきました。彼の番組がなくなることは、テレビ業界だけでなく、多くの視聴者にとっても大きな損失と感じられています。しかし、松本自身が「ぜんぜん平気」とコメントしているように、彼は変化を恐れず、新たな挑戦を続けることで知られています。この変化は、テレビ業界が直面している大きな転換期を象徴しているとも言えます。視聴者のメディア消費行動が多様化し、テレビだけでなく、YouTubeやNetflixなどのプラットフォームが人々の娯楽の選択肢として定着している現代において、テレビ番組の在り方も再考されています。松本人志の出演番組の消滅は、彼のファンにとっては残念なニュースかもしれませんが、これを機に彼が新しい形で視聴者に笑いと洞察を提供する機会が生まれることを期待する声もあります。テレビがつまらなくなるかどうかは意見が分かれるところですが、変化は常に新しい可能性を秘めています。」

    代替テキスト
    テレビから消えてしまった松本人志

    「週刊文春」の“性加害”報道によって、活動を休止しているダウンタウンの松本人志(60)。2月19日放送の「クレイジージャーニー」(TBS系)に松本は出演せず、これでレギュラー出演していた7番組すべてから姿を消したことになる。

    1989年に本格的に東京進出してから、常に地上波の人気者だった松本。大阪ローカル時代も含めると、テレビから完全に姿を消すのはおよそ40年ぶり。一定年齢以下の人にとって、松本がテレビにいるのが当たり前だった。

    テレビ出演がなくなったことで、ネット上からこんな惜しむ声があがった。

    《松ちゃんがいない番組は、つまらない!早く戻って来て〜》
    《テレビ界に必要な人 今のお笑いの基本作った人 松本人志チャンネル出来たら金払っても見たいです》
    《松ちゃんで笑うってゆー私の日常返して欲しい》

    一方で、“松本不在”のテレビに慣れてしまった人も。

    《不思議なことに、松本人志が居なくても普通にテレビおもしろいwww》
    《いなくてさみしいかと思ったら、ぜんぜん平気だった》
    《他の芸人さんが十分代わりをはたしてる むしろ生き生きしてる》

    「裁判に注力したい」という理由で活動休止している松本。5億5000万円の損害賠償や訂正記事を求めて、「週刊文春」側を提訴している。裁判が最高裁までもつれれば、長期化は避けられない。仮に数年後に勝訴を勝ち取ったとしても、“松本不在”に慣れたテレビに居場所はあるのだろうか。

    《松ちゃんが帰ってくるの、待ってます 何年でも待ってます》

    そんな暖かい声もある一方、《何年もたてばさすがに復帰は難しい》というシビアな声もあった。



    (出典 news.nicovideo.jp)

    【「松本人志の出演番組消滅に対する反応: 「平気」と「テレビがつまらなくなる」の分かれる意見」】の続きを読む


    ジャニーズ事務所への新聞報道制限、影響力低下の原因とは?


    松本 人志(まつもと ひとし、1963年〈昭和38年〉9月8日 - )は、日本のお笑いタレント、司会者、俳優、映画監督、作家。お笑いコンビ・ダウンタウンのボケ、ネタ作り担当。相方は浜田雅功。 兵庫県尼崎市出身。吉本興業(東京本部)所属。愛称は「松ちゃん」(まっちゃん)。妻は元タレントの伊原凛。20…
    119キロバイト (16,066 語) - 2024年2月8日 (木) 22:16


    「新聞の影響力が地に落ちた」とは大袈裟すぎる言い方ではないでしょうか。確かにインターネットの普及により情報の入手手段は多様化しましたが、新聞は依然として多くの人々にとって重要な情報源です。ただし、スクープに関しては、情報の入手速度や新聞の編集プロセスの問題も考慮すべきですね。

    ジャニー喜多川やダウンタウン松本人志の性加害事件など、社会を揺るがすスクープが新聞から出てこないのは、もはや当たり前になった。全国紙での記者経験がある柴田優呼さんは「女性記者から見ると、新聞社には岩盤のように強固な男性主観の壁がある。そのせいで働き方改革が進まないだけでなく、女性記者の意見が通らないため、性暴力問題を積極的に取り上げる動きも出てこなかった」という――。

    ■「松本人志と告発女性の対決を」と言った読売テレビ社長

    新聞が社会のあり方を大きく変えていくような報道が明らかに減っている。現在問題になっている松本人志氏の性加害疑惑にしても、結局、追及しているのはジャニーズ問題同様、週刊文春だ。新聞は既に報じられた話を一部追いかけているだけ。ニューヨーク・タイムズがハリウッドに対して行ったように、かねて噂(うわさ)されてきた芸能界における女性への性加害がどれだけ深刻か明らかにしていく絶好の機会なのに、感度は鈍い。人権問題というより、またも芸能ゴシップのようにとらえているようにも見える。

    それどころか、読売新聞出身で読売テレビ社長の大橋善光氏が「松本氏と被害に遭われたという女性側が対決するなら、すぐにでも放送したい」などと発言し、大きな批判を浴びた。大手メディアの社長さえ性暴力被害者の置かれた心理状態や二次加害がどのようなものか、よく理解していないことを示すものだった。

    大橋氏の発言は、視聴率を追い求めるテレビの節操のなさと結びつけられて批判されているが、大橋氏は読売新聞東京本社副社長など、新聞社内の要職を歴任した後、日本テレビ系列の読売テレビ社長に就任している。新聞社にいたとき、性暴力についての報道に真摯(しんし)に向き合っていたら、このような発言を安易にするとは思えない。

    ■記者が性暴力の被害者の尊厳を傷つけるケースも多い

    自衛隊での性暴力加害を告発した五ノ井里奈氏が2023年1月に日本記者クラブで会見したときも、五ノ井氏に対して二次加害となるような配慮に欠けた質問を、年配の男性記者が行った。五ノ井氏の告発内容は、既に約半年にわたり再三報じられていた。それを考えると今さらなぜというあまりに基本的な質問でもあった。嫌がらせでないとしたら、性暴力取材に対する無知をさらけ出しているとX(旧ツイッター)で多くの批判が集まった。

    新聞・テレビ関係者が会見の場で、性暴力の被害を受けたと訴えている女性の尊厳を傷つける発言を平然と行うといったことが、いまだに相次いでいる。こうした発言の背景事情として考えられるのが、男社会である新聞社特有の閉鎖性だ。記者たちは大学卒業から一括採用で入社し、退社まで過ごす。最近までその大半が男性で、男中心の集団が形成されてきた。

    新聞の根底にあるのは、「岩盤のような男性主観」。毎日新聞で25年働き、日本新聞労働組合連合(新聞労連)委員長を務めたジャーナリストの吉永磨美氏は、そう話す。「岩盤のような男性主観」とは、組織のマジョリティーである男性たちが良しとする考え方のことだという。たとえば働き方だと、「24時間戦える」ことが理想的。でも出産や育児のため、それができない女性記者にとっては、キャリアを阻害する元凶でもある。

    ■女性に男性同様の権限を与えてこなかった新聞の現場

    前回は、この「岩盤のような男性主観」が女性記者のキャリアをどのように狭めてきたか考えたが、今回は新聞のニュース判断や記事掲載にどう影響してきたかを見ていきたい。

    『群像』2024年2月号の「男性管理職の『納得感』?」という記事に、その一例が載っている。2023年3月の国際女性デー連載企画で女性の就労差別を取り上げたときに経験したことを、元朝日新聞記者の阿久沢悦子氏が書いたものだ。

    記事の初稿を男性編集幹部たちがチェックした後、リクエストが回って来た。「男性読者に読ませるような書き方をしてほしい」「女性を取り立てる側が、その方が得で幸せなのだ、と思えるような記事にするのが重要だ」といった内容だった。さらに、「自分のキャリアを優先するため、妻の方を退職させた男の話も入れて」というものまで。阿久沢氏は「女性の側が男性に『得だ』『幸せだ』と思わせるように努力するべきだというロジックが、差別の再生産だということになぜ気づかないのか」「『差別』の話に両論併記、いらないよね?」と率直に感想をつづっている。

    ■「岩盤のような男性主観」に疲れ新聞社を辞める女性も多い

    こうした要望の取り扱いはデスクの裁量に任せられるため、実際の記事にさほど反映されたわけではないという。だが事実であるなら、男性編集幹部たちは、職場で差別を受けている女性の側ではなく、組織の中枢を占める既得権益層の男性側の立場から問題を見ているということになる。女性が経験してきた賃金や雇用形態、昇進面などでの差別的な扱いを伝えるのがポイントのはず。でもそれをテーマに書くなら、同時に、女性を公平に扱うことのメリットも挙げろ、と言わんばかりの反応だ。

    YouTubeで見る場合: 柴田優呼/YukoShibata@アカデミック・ジャーナリズム「岩盤のような新聞の男性優位主義」(2024年1月22日公開)

    新聞記事が紙面に載るまでには、企画・編集段階でいろいろな攻防が起きる。特にジェンダーなどマイノリティーの問題が絡む記事ではこのように、「岩盤のような男性主観」を具現化したような反応が管理職側から起こることがある。「頑張って押し返すのだけど、それをしょっちゅう繰り返すうちに疲弊して、辞めていく記者たちが少なくない」と吉永氏は指摘している。

    「新聞の中には意識の壁がある」。1990年代から性暴力被害の取材をしてきた元朝日新聞記者の河原理子氏は2023年6月、日本記者クラブでの会見でそう指摘している。2017年以後、性暴力に関する記事は目に見えて増えてきた。ジャーナリストの伊藤詩織氏が当時TBS記者だった山口敬之氏を提訴し、アメリカでMeToo運動が盛り上がった年だ。

    ■新聞の品位を保つため「強姦」という言葉を使わなかった

    だが、かつてはかなり性暴力の記事は少なく、しかも「いたずら」といった、被害の深刻さが全く伝わらない言葉が新聞の紙面では使われていた。「強姦」は使用禁止だった。調べていくうち、別に人権に配慮したわけではなく、新聞の「品位」を保つこと、かつ不快感を与える用語は使わない、というのが理由だと知って、河原氏はショックを受けたという。

    今も大きな変化は起きていないが、当時も社内の編集幹部は全員男性だった。「妻が言っていたけど、電車で女性の痴漢(ちかん)被害が多いって本当?」。先輩男性記者から真顔で質問された時代だった、と河原氏は言う。痴漢を含む性暴力が常習的に起きていることを知らない人たちばかりで紙面を作っていた。その結果、「性犯罪は伏せるのが一番。それが被害者のためでもある」と信じ込み、記事にしないことを正当化する空気があった。

    そのため、河原氏が1996年に性暴力について最初の連載をしたときは、編集局内に人が少ない、つまり「載せるな」とストップをかける人が少ないと思われる週末をわざわざ狙って、連載を開始したというほどだ。

    YouTubeで見る場合:日本記者クラブ「ジャニーズ問題から考える(3)性暴力報道の行方河原理子・東京大学大学院特任教授、元朝日新聞記者2023.6.22」

    ■性加害でも「シモ」の話は記事にすべきではないという空気

    「被害者のため、といったきれいごとじゃない。単純に『下半身』の問題なのでふさわしくない、という意識があった」。2023年3月に配信された朝日新聞ポッドキャスト「ニュースの現場から」で、MCの神田大介氏もそう指摘している。地方支局にいたとき男児が被害者の性犯罪事件が起きたが、記事にはしなかった。この件だけでなく、被疑者が犯罪行為の後に自慰行為をしていた場合も、その部分は伏せたという。理由はやはり「下(しも)の話」だから。

    新聞社内に、性暴力について積極的に書くのを好まない雰囲気が存在していた。でも、それは新聞の「品位」や被害者への配慮だけが理由だったのだろうか。河原氏が最初に性暴力の連載を始めたとき、地方支局にいた若手の女性記者に「こういう記事って書いていいんですね。でも今私はやりません。にらまれるから」と言われてショックを受けたという。

    性暴力は、男性が加害者、女性が被害者のケースが圧倒的に多い。女性の就労差別の件でもそうだが、広義の男性を批判する記事を女性記者が書くと、男社会の新聞社内で風当たりが強くなることがある。

    男性記者の中には時々、「朝、食卓で家族の前で広げる新聞に、性暴力の記事が載っているのは、いかがなものか」といった考えを口にする人がいる。でも、なぜ殺人やテロの記事は良くて、性暴力の記事だと問題になるのか、疑問だ。被害者の憤りや苦しみに寄り添うというより、興味本位で見ているという認識があるような気がする。

    ■風俗店を平気で勧めるような男性記者が紙面を作っている

    性暴力の記事化が長年避けられてきたことと、根深い男社会である新聞社の体質とは、完全に切り離せるものだろうか。『週刊金曜日』2023年11月17日号に、新聞の「品位」などとは裏腹な話が載っている。元毎日新聞記者の韓光勲氏が、地方支局の男性上司に過労を訴えたら、「息抜きに風俗に行けば」と言われたという。「少し前に結婚すると報告したばかりなのに」と男女平等の価値観が崩れ、人格が否定されるようなショックを受けて、その後退社に至った。

    私自身、新聞社で働いていたとき、わずかだが男性記者のそうした言動を目にしたことがある。昔のことだと思っていたので、いまだに残っていることに驚いた。そうした言動が許容されてきたことは、閉鎖的で「岩盤のような男性主観」が根付いている新聞社の体質がどのようなものであるかを物語っている。

    河原氏によると、性暴力という言葉で朝日新聞などのデータベースを検索すると、日本最初のセクハラ訴訟が起きた1980年代の終わりごろから散見されるようになり、その後小さな山が1990年代初めや2000年前後にあった。社会面というより、暮らしや家庭面での展開が多かった。「女性記者の増加が背景にある」と河原氏は話す。

    ■ジャニーズ問題を追及できなかったのも「男性主観」のせいでは

    たとえ現実に性暴力が起きていても、それを問題だと考えて書こうとする記者がいなければ、報じられることはない。性暴力を大きな社会問題として喚起してきたのは、そうした女性記者たちの力だ。河原氏が指摘したような意識の壁は、「今もメディアの中に存在する」と、東京新聞記者の坂田奈央氏は、河原氏の会見リポートに書いている。取材の際に、自分の体験が「ネタ」のように扱われた、と辛く感じている被害者もおり、報道する側の課題は多い。

    こうした状況を考えると、ジャニーズ児童性虐待問題で、新聞が長年沈黙を続けていたことも、不思議ではない。報道してこなかった理由としてよく、「芸能ゴシップだと思った」「男性の性被害に対する意識が低かった」「警察による捜査がなかった」「訴訟リスクを恐れた」などが挙げられるが、実情は、「岩盤のような男性主観」の下で、新聞が報じるには値しないニュースだ、と無視してきたのではないだろうか。

    MeToo運動を広げたハリウッドのワインスタイン事件を暴いたのが、ニューヨーク・タイムズ紙の女性記者たちだったこと、そして男性編集幹部らが彼女たちを全面的に支えていたことを考えると、日本の新聞社との違いはあまりにも大きい。

    ■花形扱いされる男性記者も私生活では社会の一員ではない

    日本の新聞社では、入社早々警察回りになり夜討ち朝駆けをさせられ、自分自身の生活は、かなぐり捨てて生きることに慣れさせられる。専業主婦の配偶者や親族に支えてもらうか、独身でないと、持続可能な働き方はではない。つまり、生活経験が乏しく、社会の一員でありながら社会の一員として暮らしていない。

    経験者採用も増えているが、彼らが持つ異なる文化を組織に取り入れようとするというより、彼らが既存の文化に染まり、溶け込むことが求められる。多様な人材の均衡が基本、という立て付けになっていない。

    一方で、若手でも、名刺1枚で首長や官僚のトップ、大企業社長と会うことができる。一般人が入れない場所にもアクセスできる。その際の取材相手も男性が中心。花形とされる永田町や霞が関などの取材現場はそもそも、男性優位の牙城のようなところだ。決定権を持つ場に女性がいないのが当たり前で、新聞社内でも同じ風景が広がっていることに違和感を持たない。

    ■新聞記事を作る編集部門がエリートの特殊な社内構造

    記者の社内での立ち位置も特殊だ。通常は企業内に社業を支える多様な部門が並立している。だが新聞社では編集部門が他を圧倒しており、記者出身でない者が社長になることは、ふつうない。外部を含めたチームで動くテレビ局や、企画者としての側面も強い出版社と違い、新聞記者は1人で動くことが多い。他社との競争に常時さらされているため、精神的にも体力的にもタフであることが期待される。唯我独尊になりやすい環境だし、「岩盤のような男性主観」という一元的な価値観がすんなりと入り込みやすい組織構造になっている。

    そして花形の当局回りでキャリアを積んだ男性記者が管理職に登用され、組織の中枢に据えられる。彼らが良しとする、つまり「岩盤のような男性主観」を反映したニュースが紙面の中心を飾っていく。「どこから探し出したかわからないような、一般の人たちの話から出てきたニュースではなく、記者クラブに所属しなければ取れない情報にこそ、希少価値があるという暗黙の了解がある」と吉永氏は指摘する。

    その結果、そうした「岩盤のような男性主観」から外れたような話、たとえば性暴力や選択的夫婦別姓などの問題は、それほど重要ではないと見られる。「記者が頭を下げて、何度も頼まないと載せてもらえないようなことも起きている」と吉永氏は言う。“やらせてもらうジェンダー平等”というわけだ。

    ■私たちはこれから新聞に何を望むのか、考えてみるべき時期

    そうでなくても、「学童保育の帰り道に、『子供がこんなことを言ってきて』みたいなことや、近所の人が『こんなことを言っていたけど、あれどうなっているの、この政策ちょっとおかしいんじゃないの』というような発想を重用する価値観に変わらない限り、どんどん社会とずれていく」と吉永氏は指摘する。

    新聞とは、一体誰のものだろう。新聞が果たす社会的役割の大きさを考えるなら、急激な部数減で影響力が落ちている今、もはやこの問題を新聞社だけに任せるのではなく、広く社会に開いて、私たちはどんな新聞を望んでいるのか、もっとオープンに論じるべきだ。

    ----------

    柴田 優呼(しばた・ゆうこ)
    アカデミック・ジャーナリスト
    コーネル大学Ph. D.。90年代前半まで全国紙記者。以後海外に住み、米国、NZ、豪州で大学教員を務め、コロナ前に帰国。日本記者クラブ会員。香港、台湾、シンガポール、フィリピン、英国などに居住経験あり。『プロデュースされた〈被爆者〉たち』(岩波書店)、『Producing Hiroshima and Nagasaki』(University of Hawaii Press)、『“ヒロシマ・ナガサキ” 被爆神話を解体する』(作品社)など、学術及びジャーナリスティックな分野で、英語と日本語の著作物を出版。

    ----------

    ジャニーズ事務所の会見で待機する報道陣、2023年10月2日、東京都千代田区 - 撮影=阿部岳人


    (出典 news.nicovideo.jp)

    【ジャニーズ事務所への新聞報道制限、影響力低下の原因とは?】の続きを読む


    日本人の心を鷲掴み!「時間がたてば忘れる作戦」とは?


    ジャニーズ ジャニーズ事務所 - 日本の芸能事務所「SMILE-UP.」の2023年(令和5年)10月17日の改名前の旧名称。ジャニー喜多川が創業。 ジャニーズ (グループ) - 男性アイドルグループ。ジャニーズ事務所から最初にデビューしたが、同グループの方が先に発足した。 上記芸能事務所所属のタレントに対する総称。…
    765バイト (174 語) - 2023年12月27日 (水) 17:58


    時間がたてば忘れる作戦にハマった日本人の反応は予想通りだったと感じます。過去の問題については、時間が経てば薄れてしまう傾向がありますからね。

    ジャニーズは約束を何も果たしていない。あれほど「反省」を口にしていたメディアも、年が明けたらもう、ジャニーズ頼みの番組編成に戻りつつある。能登半島地震や松本人志の性加害事件に話題が集中する陰で、目論見通り「時間がたてばみんな忘れてくれる」という戦略。そんなジャニーズとメディアに、元週刊文春編集長が、10カ条の公開質問状をたたきつける――。

    ■口先だけの「反省」で終わらせようとしているのか

    やはり、ジャニーズ問題は「一億総懺悔」で終わってしまうのでしょうか。

    BBCの報道に始まったジャニー喜多川氏による、1000人以上という大規模な性加害に対して、藤島ジュリー社長は2023年5月に動画で謝罪し、元NHKの武田真一氏は「報道側として報じる責任があった」と認めてからは、9月以降、宮根誠治や大物キャスターが次々反省の弁を述べ、メディアの社長も軒並み報道機関としての責任を感じるとコメントしました。

    そして9月7日と、10月2日には2度にわたりジャニーズによる記者会見も行われ、ジャニー氏の犯罪行為への謝罪と被害者への補償を尽くすことが繰り返し強調されたことは記憶に新しいはずです。

    しかし、それから約3カ月、ジャニーズ側の記者会見は行われていません。被害者補償が成立した人数が発表されたり、旧ジャニーズは新会社「SMILE=UP.」として補償のための清算会社となり、タレントとはエージェント契約を結ぶための新会社である「STARTO ENTERTAINMENT」と看板は変わったものの、あの記者会見で約束されたことはほとんど闇の中です。

    たとえば、マスコミへの圧力をかけた白波瀬傑副社長について、「いずれ会見させる」とコメントしたはずですが、いつのまにか退職。会見に出てくる気配はありません。

    戦後の「一億総懺悔」と同様に、みんながただ口先だけの「反省」を繰り返し、責任の所在をあやふやにしている。そして、ただほとぼりが冷めるのを待っている……。

    「ジャニーズ性加害問題当事者の会」は10月8日、記者会見のやり直しを求める要請文まで発表しましたが、放置されたままです。

    いや、その間、重大な事件もおこりました。被害者の自殺です。遺族らによると、深刻なトラウマを抱えていた被害者は元タレントで、5月には被害を事務所に訴えたものの、連絡するという返事が来たまま5カ月の間、全く放置されていたとのことです。

    また、ジャニーズ性加害問題「当事者の会」の石丸志門副会長によれば、「当事者の会」を通じて、被害者補償が行われたことはないと言い切っています。事務所が公言した「法を超えた補償」はどこヘ行ったのでしょうか。

    ■この「謝罪騒動」は茶番に終わると思っていた

    私は、週刊文春のキャンペーン、そして、その後の裁判勝利、以降続いた彼らの文春への圧力の数々を経験していたため、元々この「謝罪騒動」は茶番に終わると思っていました。

    ジャニーズ側の記者会見は、危機管理専門弁護士を起用したり、NG記者リストをつくったりと、事実を直視し、公開するより、時間がたてばみんなが忘れるという作戦だったと睨んでいました。

    そして、それは見事にうまくいっているようにみえます。たしかに補償は少しは行われていますが、解決の速度はきわめて遅いといわざるを得ません。

    反省したはずのメディアも、新年になって、4月改編のドラマでは木村拓哉主演の番組が発表されるなど、続々ドラマ主演の話が飛び出してきました。

    ジャニーズ抜きのNHK紅白歌合戦が史上最低視聴率を記録したり、ジャニーズ中心のカウントダウンTVをバラエティ「逃走中」に切り換えたものの視聴率は3.4%。もう、ジャニーズ頼みの編成に戻ろうとしているのです。

    メディア、特にテレビ局は、ジャニーズに忖度(そんたく)し、性加害の場所まで提供した、いわば共犯者であるという自覚があまりに足りないと思うのは私だけでしょうか。

    殻にこもって、なんとか逃げようとする人間に大声を上げても、立ち止まるはずはありません。いや、国民全体も、記者会見をみて、記者のパフォーマンスでしかない行動に呆れ、メディアの反省もジャニーズの反省も一時のことだと悟ってしまったのではないかと思います。

    ■確約していた記者会見はいつ開かれるのか

    しかし、私は、このまま放置して、かつての「一億総懺悔」のようにしてしまえば、日本人が変わる機会を失うと思っています。再度、二つに分かれた会社の記者会見を要求するとともに、まず、事情をもっとも知る元週刊文春の編集長として、公開質問を送りたいと思います。まずはこの基本的問題に会見で答えてから、各自の質問に移れば、NG記者リストなどつくっても無意味になるからです。

    以下、私の公開質問です。

    1.白波瀬傑元副社長の会見はいつ行うのか?

    2.矢田次男弁護士の会見はいつ行うのか?

    3.新会社の原資はどこから調達するのか?

    4.新会社の名前やグループ名の選定は、ファンクラブにどのように相談するのか?

    5.なぜそこまでファンクラブに権限をもたせるのか?

    6.ヤング・コミュニケーションの社長には誰が就任するのか?

    7.誠実に被害者への補償に向き合う気持ちが本当にあるのか?

    8.ジャニー氏の行動が刑事事件に値するという認識はあるのか?

    9.メディアへの圧力に対する謝罪の意志はないのか?

    10.各メディアは、性加害に手を貸した自社の職員を探しだす気はないのか?

    まずは1.記者会見で、東山紀之社長が出席を確約されていた、マスコミイジメ、いや「マスコミ抱き込み」のプロ・白波瀬傑元副社長の会見はいつになるのでしょうか。

    そして2.同じく裁判でのジャニーのホモセクハラの言い分(編集部注)を聞いていた顧問弁護士矢田次男氏の出席はないのでしょうか。ジャニーズ内部では、裁判の敗北は、顧問弁護士が下手だったからと言われていたと記者会見で公言されて、矢田弁護士は、黙っているのでしょうか。

    3.スマイルカンパニーの100%の株をもつジュリー氏は、すなわち旧ジャニーズ事務所の財産をすべて握っています。その状態で、多数のタレントを抱えている新会社は、いったい何を原資として、稽古場や打ち合わせ場所など新会社に必要な施設を用意するのでしょうか。その原資はどこから調達するのでしょうか。

    ジュリー氏は、一切カネを出していないと言っていますが、今のところ、ジュリー氏のもつ会社のものを借りて、原資もジュリー氏から借りるしかないのではないでしょうか。新会社の福田淳CEOは、金融機関からの借り入れで、当面の運転資金はめどがついたとメディアに語っていますが、本当でしょうか?

    4.新会社の名前やジャニーズを冠したグループ名の選定をファンクラブに相談するということですが、これは全員にアンケートでも取ったのでしょうか。それともファンクラブの一部幹部と話し合ったのでしょうか。

    (※編集部注)1999年10月から14週にわたって行われた『週刊文春』のジャニーズに対する「ホモセクハラ」追求キャンペーンに対し、ジャニーズ側が同年11月にジャニーズ事務所とジャニー喜多川氏が文春に対して名誉毀損(きそん)で提訴。裁判でジャニー氏は、少年たちへの性加害に対して「一切ございません」と答えているが、「少年たちがウソをつく理由がありますか?」という弁護側の問いに、「彼らがウソの証言をしたということを、僕は明確には言い難い」と答えた。文春の弁護は、その瞬間に「勝った」と思ったという。

    ■500億円のファンクラブの収入

    5.なぜ、そこまでファンクラブに権限をもたせるのでしょうか。ファンクラブはファミリークラブと称しますが、以前から1200万人の会員を抱えるとジャニーズ事務所は公言していました。入会金は1000円。年会費は4000円。一人4000〜5000円を1200万人の会員数と計算すると、約500億〜600億円もの収入があることになります。このクラブの収入は、どこに上納されるのでしょうか。

    2022年12月に東京国税局から“お年玉”など約9000万円を経費計上していたものは経費に認められないとして、約4000万円を追徴課税されていましたが、事務所の“常識外れ”な会計処理がうかがえます。

    また、これはあくまでも会費です。チケットを買うために家族を全員会員にしているケースもあるといいますし、ファンクラブに入るのはコンサートで「ファンクラブ優先チケット」を申し込むためですが、そのチケットに当選したファンが代金を支払う先は、ジャニーズFCを運営しているジャニーズ事務所ではなく、「ヤング・コミュニケーション」という企業になっています。

    6.7日の会見で、ジャニーズ事務所社長の辞任を発表したジュリー氏ですが、9月の時点ではヤング・コミュニケーション社の代表取締役は外れていません。発表もありません。オカネのなる木であるこの会社は、大事なはず。グループ会社をすべて引退するとジュリー氏が言うなら、この会社の社長は誰になるのでしょうか。

    7.補償については、その後も、被害者が増加しているにもかかわらず、補償が確定した人数はわずかです。本当に誠実に補償に向き合う気持ちはあるのでしょうか。元々性加害に関する補償は、経験豊かな弁護士などによると、大体数百万円にしかなりません。

    被害者の多くは、ただ性加害を加えられただけでなく、その精神的苦痛により、人生そのものを破壊された人々が多く、その人々に、弁護士ばかりのチームで彼らの人生を取り戻すような気持ちのこもった補償ができるのでしょうか。

    HPの申し込みフォームを通じて、被害を届け、外部の三人の弁護士により、聞き取りをして補償額を決めるということは、あまりに、誠意のない補償行為だと考えます。多大なトラウマを抱えた被害者が自殺までしているという現状なら、このスキームでは、また自殺者がでないとも限りません。

    弁護士を増やすとか、ジュリー氏本人が被害者一人ひとりと話し合うとか、人間味のある対応ができないのでしょうか。そして、プライバシーの保護を前提として、補償額も公表すべきです。

    ■刑事事件になったら共犯者は自首してほしい

    8.事務所に残ったメンバーには、ジャニー氏の行動が刑事事件に値するという認識はあるのでしょうか。児童保護法の時効は7年です。加害者自身が死亡しているとしても、これだけ多くの被害者が存在しているのです。中には時効以内であるこの7年以内に被害を受けた人物もいるでしょう。

    彼らが被害を告発したなら、捜査は司直の手に委ねられます。その場合、共犯者は当然ながら刑事事件に問われます。私の目には、刑事事件に値する事件であることは明らかですが、事務所の謝罪の中には、刑事事件を犯した、それに手を貸したという自覚はあるのでしょうか。

    もし共犯であると自覚した人物がいるなら、ぜひ自首して、事務所が児童を扱っているにもかかわらず、あまりに保護者の視点が足りなかったということを公表し、良心をみせる職員が出てきてほしいと思います。

    9.記者会見では、ジャニー氏の性加害については何度も謝罪がされていますが、マスコミへの圧力や、テレビ局へのタレント起用の圧力については、何ら触れられていません。これは、謝罪の意志はない、あるいは間違ったことはない、という意志の表れなのでしょうか。それとも、今後徹底的に調査して、謝罪する意志はあるのでしょうか。あるのであれば、即刻調査チームを結成発表していただきたいものです。

    10.各メディアは検証番組や記事で、性加害の場所を局内などで提供した事実を認めています。犯罪行為に手を貸した職員を探し出し、警察に協力させて、その施設を利用した職員をあぶりだす行為はしていないのでしょうか。昔の話で分からなかったなどと弁明している会社がありますが、報道機関の調査力とは、その程度のものなのでしょうか。

    ■現役タレントに被害者はいなかったのか調査せよ

    そして、最後に申し上げます。現役タレントにも被害者がいなかったか、プロの調査チームを結成して徹底的に調べていただきたいと思います。被害者でありながらスターの地位を失いたくないばかりに泣き寝入りしている人物がいたら、それこそ気の毒です。

    私はその彼に言いたいのです。勇気をもって発言することこそが、名もなき被害者への勇気づけであり、また女性をはじめ、弱い立場に寄り添い、勇気をもって世の中の不正と戦うことこそ、人生を取り戻す機会になることを教えることになる、と。

    口だけの反省……私たち日本人は戦後、「一億総懺悔」という情けない行動をとりました。昨日まで戦争万歳だった先生が、教科書に墨を塗って民主主義を叫び、徴兵がくれば大喜びで、近所の若者を兵隊に送り出していた国防婦人会が、突然、軍部の暴走により空襲でひどい目に遭いましたと告白するようになりました。

    そして、そんな反省はいつのまにか忘れられ、敗戦によって得た男女平等も、三権分立も、報道の自由も、時がたつにつれてどんどん後退しているというのが私の持論です。

    経済界はCM自粛という手段をとり始めましたが、刑事事件にすることを考えなかった司法機関、児童保護機関の見識も問いたいと思います。なにしろ、あの記者会見の真っ最中に、辞めたとはいえジャニーズのシンボルともいえる近藤真彦に一日署長を平気でさせていた警察です。ジャニーズのこういう警察抱き込み行為に騙されていたことを告白する幹部は出てこないのでしょうか。

    たかが週刊誌が発掘した事件、たかが男性の性被害……そんな古い感情でメディアは、最高裁で認められた性加害を報じることを見送り、警察も捜査さえしようと思いませんでした。令和の時代は、この数十年の日本の閉塞感を吹っ切って、明日を切り開く時代になってほしい。

    そのためには、まず、この事件を克服しましょう。女性ファンたちも、現役が告白することを応援し、それを望む声明を出してこそ、時代を切り開く行動になると自覚してほしいと考えます。

    そして、「反省」を口にしたメディアの幹部やMCのみなさん。その言葉を私はずっと覚えています。そのことを忘れないでください。

    ----------

    木俣 正剛(きまた・せいごう)
    元週刊文春編集長
    1955年生まれ。編集者。元週刊文春編集長。元文藝春秋編集長。大阪キリスト教短期大学客員教授。OCC教育テック上席研究員。

    ----------

    23年9月7日に開かれた記者会見。約束されたことは、今もほとんど闇の中。 - 写真=AFP/時事通信フォト


    (出典 news.nicovideo.jp)

    【日本人の心を鷲掴み!「時間がたてば忘れる作戦」とは?】の続きを読む

    このページのトップヘ